
環境アセスメント学会
設立までの経緯
設立にあたっては呼びかけ人会を開催して準備しました。当時の資料を掲載します。
設立趣意書
人間の経済・社会活動はかつてないほど巨大化し、これに伴う環境への影響によって私達の生活や社会の基盤が損なわれる恐れのあることが広く認められるようになっています。もとより、環境に何らの影響を与えることなく経済・社会活動を営むことはできませんが、人間活動の基盤である環境が持続可能でなければ人間の存在そのものが成り立ちません。したがって、今日私達は、その活動に伴う物理的、自然的、社会的影響を事前に把握することによって、できる限り環境影響の少ない、より望ましい活動を選択していくよう努力する必要があります。
環境アセスメントはこのための仕組みとして、1969年のアメリカ国家環境政策法を皮切りに、各国で制度化が進められてきました。1992年のリオの地球サミットでは、持続可能な発展のための重要な手段として環境アセスメントが位置付けられました。我が国では、1997年(平成9年)に環境影響評価法が制定され、1999年(平成11年)に全面施行されました。また、各地方公共団体における制度化も進められ、全ての都道府県・政令指定都市において環境アセスメントに関する条例が制定されるに至っています。日本においては、環境アセスメントが社会制度として本格的に整備されたところであると言えましょう。
しかしながら、環境アセスメントが現在の社会において十分にその機能を発揮しているかというと、必ずしもそうとは言えません。社会の意思決定のツールとして、あるいは、環境影響を客観的に見積もるための手段として、環境アセスメントは、制度的にも、技術的にも、さらに継続的な改善が図られる必要があります。
このとき、社会の意思決定手段の改善という点では社会科学的な知見が必要であり、一方、環境影響を客観的に見積もる手段の改善という点では自然科学的な知見が求められることとなります。このように、環境アセスメントの発展のためには、社会科学と自然科学とを問わず学際的な交流を図り、その研究のレベルを向上させるための場が備えられることが重要です。
また、環境アセスメントは、きわめて現実的な課題に対応するためのものであり、研究者の学術・技術水準を高めるだけで機能するというものではありません。環境アセスメントの機能を高めるためには、行政、企業、市民、NGOといった環境アセスメントに関する幅広い関係者が参加し、現実的な課題に基づく議論を活発に行うことが重要であると考えます。このため、インタ-ネットなどを活用し、情報発信,情報交流機能を重視する,新しい時代に則した学会を目指します。
さらに、日本の環境アセスメント発展のためには、制度や技術に関する国際的な動きを十分に認識することも必要です。戦略的環境アセスメント、生物多様性評価、累積的環境影響評価、社会影響評価、国際協力にかかるアセスメントなど、環境アセスメントの概念は大きく広がっています。これらを巡る課題については、国際的な場で活発に情報や意見の交換が行われており、国際影響評価学会をはじめとする環境アセスメント分野での国際的な組織との十分な連携が図られるよう、これらとの国際交流の拠点となる場を設ける必要があります。
環境影響評価法や条例の整備を受けて、日本における環境アセスメントの事例が蓄積され、関連する実務を行う者が急増している現在、多様な分野の関係者が、環境アセスメントという一つのテ-マの下に交流を深め、互いに切磋琢磨することにより、環境アセスメント関係者全体の学術・技術の水準を向上させることも求められています。
以上のような時代の要請に応え、持続可能な社会の構築に寄与するため、環境アセスメント学会の設立を期するものであります。
2001(平成13)年12月5日
環境アセスメント学会 呼びかけ人一同
環境アセスメント学会の設立について
1.名称
環境アセスメント学会
英文: Japan Society for Impact Assessment
2.事務所
東京圏に置く。
3.目的
環境アセスメントに関する国内外の多様な分野の研究者及び実務者等の相互交流を行い、環境アセスメントに係る学術・技術の発展と普及を図り、また、環境アセスメント関する国民各層共通の認識を醸成することにより、環境アセスメントの適正な実施を推進し、もって持続可能な社会の構築に寄与することを目的とする。
4.事業
(1) 環境アセスメントに関する調査・研究とその振興
(2) 環境アセスメントに関する会誌、学術書、研究成果等の刊行
(3) 環境アセスメントに関する研究発表会、シンポジウム等の開催
(4) 環境アセスメントに関する国内外学会等との交流
(5) 環境アセスメントに関する調査・研究等の業務の受託
(6) その他目的達成に必要な事項
5.会員
(1)正会員 本会の目的に賛同して入会した個人(会費1万円)
(2)公益会員 本会の目的に賛同して入会した官公庁(会費一口3万円)
(3)賛助会員 本会の事業を賛助するために入会した法人又は個人(会費一口5万円)
(4)準会員 環境アセスメント分野に関心を持つ学生等(会費4千円)
(5)名誉会員 本会の目的達成に顕著な貢献をした者で理事会において推薦された者(会費なし)
6.法人格等
当面は任意団体として発足する。
本会の総会及び役員会は正会員により構成する。
7.スケジュール
平成14年度4月20日に中央大学で設立総会を開催する。
8.組織
役員は以下の通りとする。
会長1名、副会長2名、及び理事を置く。会長、副会長を含め、理事全体では25名以下とする。監事2名を置く。他に、必要に応じて評議員を設ける。
以上
呼びかけ人名簿(敬称略、五十音順)
呼びかけ人会について
◇第3回呼びかけ人会
1.日 時 平成14年3月4日(月)午後3時より5時(終了予定)
2.場 所 (財)日本環境アセスメント協会 会議室
3.議 題
(1)設立総会(4月20日)の開催について
(2)設立総会提出資料について
(3)役員の選任について
(4)その他(呼びかけの促進など)
◇第2回呼びかけ人会
1.日 時;平成14年1月23日 15:00~17:00
2.場 所;弘済会館
環境アセスメント学会第2回呼びかけ人会が平成14年1月23日(水)に開催された。今次呼びかけ人会では、今後のスケジュールや設立総会(平成14年4月20日(土)、於:中央大学後楽園キャンパス)の議事次第、学会規約等について話し合いが行われた。
また、学会の加入状況について報告があり、準会員として申しこまれて来た方の中には環境コンサルタント等が含まれており、これらについては,本来、正会員として登録してもらうべきではないかとの指摘があった。このため、準会員の定義を変更し,「環境アセスメント分野に関心を持つ学生等」とすることが確認された。
今後のスケジュールとして、次回呼びかけ人会は平成14年3月4日(月)に開催されること、平成14年9月28日(土)、29日(日)を目途に研究発表会を企画することが話し合われた。
